続ブレンハイムスポットあるいは道草俳句日記 俳句
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『のほほんと』 野口裕句集

『のほほんと』野口裕句集(まろうど社) より


重機また人の末裔黄砂降る

春雨がぶっきら棒に水を突く

鳥帰る何かの予行だとしても

まず手を見次に爪を見試験果つ

ガラパゴス携帯電話初電話

山ひとつ片付いた夜のつつじかな

コンビニのうしろ無人と振り返る

マンホールの蓋持ち上がる星月夜

擦れ違うダンプまくなぎ連れ去りぬ

五七五たまに七七春麦酒

負にならぬカウントダウン去年今年

空蝉に蝉が入ってゆくところ



著者の野口裕さんとは、一時句座を共にしていたことがある。
その時の印象だと、作品も、句の読み方も、独特のスタンスがあり、まず普通っぽいことは言わない。
句会で、たまに自分の句を野口さんに取ってもらうと、嬉しかったが、どういう句が取ってもらえるかの傾向は、全くつかめなかった。
そのスタンスは、この句集をにも通じていると思う。けれどそれを言葉で表そうとすると難しい。
私が好きだと思った句に関して言えば、すこしブラックなユーモアと、どこかSF的な味わいがあるように思う。



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雪晴

綺麗に晴れた。雪はまだまだ残っている。


俳句仲間の月野ぽぽなさんが、角川俳句賞を受賞されたので、授賞式へ。
気持ちのこもったぽばなさんらしいスピーチ。本当におめでとうございます!

パーティーと雪の東京でした。明日くりまるのところへ帰ります。

30周年

朝の飛行機で東京へ移動して、炎環の30周年記念会に出席。

私は10周年の少し後に入会したので、もうすぐ20年が経つと思うと感慨深い。

プログラム盛りだくさんで来賓多数。
当日行ってお手伝いしただけで少々疲れた。ずっと準備をしてこられた方々は大変だったと思う。

句集 『赤鬼の腕』 中内亮玄

句集 『赤鬼の腕』 中内亮玄 (狐尽出版) 

剥き出しの心臓である冬の汽車

そそくさと大人にされて冬すみれ

春雨にほどけて歩く姉妹かな

電池切れて人と切れてから驟雨

霧深し「おぅい」と呼べば捨てられる

桜蘂虫歯だらけの夜でした

春隣いつか鰐だった鞄

酒臭きサンタかな愛多けれど

少し歩くつもりの赤の他人かな

新鮮なビルディング生え冬の虹


昂ぶった調子の、切迫感のある俳句が多い中に、ちょっと外したような愛嬌のある句も少し。
フォントが大きい。

第一章「赤鬼の腕」が句集で、第二章「青鬼の尻」は小論集。

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テーマ : 俳句
ジャンル : 小説・文学

『リボン』上田信治句集

風邪をひいて、本当に寝正月になってしまった。
読み初めです。

『リボン』 上田信治句集(邑書林) より

うつくしさ上から下へ秋の雨

夜の海フォークの梨を口へかな

公園の冬温かし明日世界は

胃のかたち眠りのかたち冬の空

野兎のとても煮られて血のソース

きうりもみ池は雨ふる前の色

夢のやうなバナナの当り年と聞く

天然の蝦蛄はたのしく海の底

上のとんぼ下のとんぼと入れかはる

靴べらの握りが冬の犬の顔

木犀や水をもらつて白い犬



滋味がある、というか、風邪で弱った胃腸にじわじわ効く感じでよかった。
「書き方の違い」で六章に分けられているということだが、Ⅴ バナナ の章に好きな句が多かった。

電線にあるくるくるとした部分
kurukuru.jpg
これのこと?



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プロフィール

由季

Author:由季
大阪泉州在住 
2014年に『犬の眉』という句集を出しました。
キャバリアKCスパニエルのくりまる(2004年12月18日生)の世話係です。

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