続ブレンハイムスポットあるいは道草俳句日記 中村安伸『虎の夜食』

中村安伸『虎の夜食』

中村安伸『虎の夜食』(邑書林) より

風薫る馬に乗つたりあるいたり
東京を包む大きな雪催
はたらくのこはくて泣いた夏帽子
雪の日の餃子の中に眠るかな
心臓を抜いてギターのできあがり
内臓がすべておでんとなる霜夜
いなづまのいれずみを負ふ人魚姫
よきパズル解くかに虎の夜食かな
実験に妻が必要つばくらめ
老犬は睡魔と遊ぶ大晦日


作品はロマンティックだったり、シニカルだったり、
時にエロティックだったり、パロディも。

ところどころに短文が挟まれていて、幻想小説のような味わいとなっている。
この短文はある時期にTwitterで投稿されたものとのことなので、元々は収録の俳句作品とは別々にあったのだろう。
選句と構成は作者自身ではなく、青嶋ひろの氏によるもの。
短文と俳句の並びはほどよく距離がとられている部分もあるし、明示的に関連のある箇所もある。
いずれにせよお互いに影響しあって、印象を深くしている。
このような構成でなかったら、ずいぶんと違う印象の本になっていたに違いない。
20年分の作品を委ねることのできる、作者と編者の信頼関係が眩しい。
そういう面からもユニークな句集だと思う。



テーマ : 俳句
ジャンル : 小説・文学

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プロフィール

由季

Author:由季
大阪泉州在住 
2014年に『犬の眉』という句集を出しました。
キャバリアKCスパニエルのくりまる(2004年12月18日生)の世話係です。

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